#Book [[📒エンジニアリング組織論への招待]] ## 💭 1章を読んでみて - エンジニアリングの本質は、[[🗃️不確実性]]の伴うアイディアを実現していくこと - [[🗃️不確実性]]を減らしていく行動が本質 - 人は問題を正しく認知できないし、感情を抜いて確実に問題を認識できない - だからこそ、感情に左右されていないかとか、結論が飛躍していないか、先入観に囚われていないのかみたいなことをより一層意識することが大切 - 難しく考えて行動に出られないよりは、[[🗃️経験主義]]というキーワードを使って、わからないなら、何を解るようにすれば解決できるのか?みたいな思考を意識したい - 局所的な最適解だけではなく、全体を認識して[[🗃️問題解決]]するのは意識したい - [[🗃️情報の非対称性]]がコミュニケーションの落とし穴なので、[[🗃️透明性]]を意識した動きをしたい - ただ情報を公開するだけではなく、聞きやすい環境作りなど --- ## 1-1 すべてのバグは思考のなかにある - 思考の中にバグがある - -> 他者とのコミュニケーションを通じて理不尽を感じることがある状態 - 思考の[[🗃️リファクタリング]] - -> 頭の中で発生してしまう無駄なプロセスを削除して、考える時の指針を持つことで、問題解決に向かって明確に行動ができるように促すもの ## 1-2 不確実性とエンジニアリング - エンジニアリングは「実現」の科学 - [[🗃️ソフトウェア]]における実現 - -> 「曖昧さ」を減らし、「具体性・明確さ」を増やす行為 - プロジェクトにおける[[🗃️不確実性コーン]] - -> ものを実現するというのは、不確実状態から確実な状態に推移させていく過程 - エンジニアリングで重要なのは、「どうしたら効率よく不確実性を減らしていけるのか」という考え方 #### 組織構造と不確実性の流れ - 誰かが何かを指示するときは、「抽象的で曖昧な指示」と「具体的で明確な行動」という関係がある - 組織構造の上位にいけば行くほど、抽象的で曖昧な状態で指示していく必要が出てくる - 💭エンジニアとして働くということは、抽象的なアイデアや指示を具体化していくことなのだな - 指示の具体的な組織と抽象的な組織 - 指示の具体的な組織 - 指示をする側の知識能力がそのまま組織の知的な能力になる - 指示をする人が病気になったらアウトプットが下がる - 多くの人員を抱えるようになると組織全体の能力が頭打ちになってスケールしない - 指示の抽象的な組織 - 組織が拡大してもパワーを発揮できる、スケールする組織 - 「マイクロマネジメント型」-> 具体的で細かい指示を必要とする組織 - 「[[🗃️自己組織化]]された」組織 -> 抽象的で自由度のある指示でも動ける組織 - [[🗃️自己組織化]] - 不確実なものを確実なものに変えていきながら、自分たちのやり方を作っていく - 💭具体的な指示が欲しいと思う時もあるけど、そうすると組織全体では、スケールしない組織になってしまうし、抽象的なものを具体化していくのが、エンジニアリングの仕事の醍醐味なのかな #### [[🗃️不確実性]]と情報の関係 - [[🗃️不確実性]]の量とエントロピー - [[🗃️不確実性]]の正体とは? - 晴れ50% 雨50% 1bit - 100%晴れるのは、0bit - 発生する確率が偏るほど、[[🗃️不確実性]]の量は減る - 「不確実性を減少させる知識」= 情報 ### [[🗃️不確実性]]の発生源 - [[🗃️不確実性]]は「わからないこと」によって生まれる - 未来 - 他人 - 未来 - それがやってくるまではわからない - 環境不確実性という - 他人 - 通信不確実性(コミュニケーション不確実性) - 不確実なものに向き合うというのは、「不安」を伴う - 人は不確実なものよりも、「わかっている」物事を優先して実行してしまう癖がある - 💭めっちゃわかる。だからこそ、目の前のタスクだけに囚われていると良くないんだよね。 - 不確実性に向き合うという不安の山を乗り越えない限り、不安が減っていかないという人の性質が、様々な問題を引き起こし、実現を阻害してしまう ### 情報を生み出すこと - エンジニアリング = 何かを実現すること - 不確実性を下げること = 情報を生み出すこと - エンジニアリングの本質は、不確実性の削減であること - これに気づかないと、間違いがないように行動して、苦しい思いをする - 💭だから、アジャイルが大事ということなんだろうな。 ## 1-3 情報を生み出す考え方 ### 仕事と学力テストの3つの違い - 学力テスト - 1人 - 情報: 問題に書いてある - 答え決まっている - 仕事 - 複数人 - 情報必ずしもあるわけではない - 答え決まっていない ### 論理的思考の盲点 - 他人が介在する問題については、感情的にならざるを得ない - コミュニケーションの失敗 - 私はあなたではないという単純なことが忘れられてしまい、勘違いが発生する - 人間の認知能力の限界、他人の情報を全て手に入れることが不可能である - →事実を正しく認識することが難しい - 💭組織の問題は、人によって認知が違うので、色んな人の話を聞くと、逆に何が問題なのか正しく特定できないとかは、よくある。 ### 経験主義と仮説思考 - 経験主義 - 情報を入手するために行動して、その結果を観察し、そこから問題解決を行う考え方 - 仮説思考 - 特定の情報から、全体像を想定し、それを確かめることで少ない情報から問題解決に向かう思考様式 ### システム思考 - 全体像を見極めて、正解を設定する必要がある。 ## 1-4 論理的思考の盲点 ### 論理的思考と2つの前提 - 演繹的思考 - 例 - ルール、人間はみんな死ぬ - 事象、私は人間である - 結論、私は死ぬ - 重要な前提 - ルール(考えの基になる事象)を正しく認知できること - 正しく演繹できること ### 人間が正しく論理的に思考するには - 1 事実を正しく認知できる - 自分の認知が、いつ、どのように歪むのかを知る必要がある - 伝聞情報をあたかも事実のように伝えたり、自身の推論も含めた意見を事実として報告されることは、日常茶飯事 - 💭これはやりがちなので、注意が必要 - 2 感情にとらわれず判断できる - すばやく結論へと思考を進めてしまう - 発生しているのは、感情による短絡 - 💭これもやりがち。 ### 非論理的に考えない=論理的に考える - 論理的に考えるには、「非論理的に考えてしまう」瞬間を知ることが大切 - 論理的思考能力とは、「感情的になる瞬間を知り、その影響を少なくできる」能力でもある ### 人は正しく事実を認知できない - 雨が降ったは、事実 - 事実と認知は大きな隔たりがある - 正確に把握するのは不可能 - 自分の認知がどのように歪むのか、歪みうるのかを知っておくことで、それが事実ではないかもしれないという可能性を留保できる ### ベーコンの4つのイドラ - イドラ=人間の錯覚や偏見 - 種族のイドラ - 人間が本来持っている性質から生じる錯覚や偏見 - 洞窟のイドラ - 外の世界を知らずに、決めつけて理解することから生じる偏見 - 💭[[🗃️ダニング=クルーガー効果]]みたいなことかな - 市場のイドラ - 言葉の不適合な使用から生じる誤解や偏見 - 噂話や、デマを信じてしまう - 劇場のイドラ - 伝統や権威を無批判に受け入れて、誤った考えであってもしんじてしまう偏見 ### 認知の歪み #### ゼロイチ思考 - スプリッティングともいう - 白か黒、敵か味方かという二分法で物事を捉え、間のグラデーションを認識できずに捉えてしまう認知の歪み #### 一般化のしすぎ - 主語が大きい #### すべき思考 - 道徳的に、「すべきである」「しなければならない」と期待し、それを強制するような思考パターン - 例、芸能人の不倫 - プライベートな個人の問題を、モラルの問題にすり替えて、どんな事情があるかもわからないのにルールを押し付ける #### 選択的注目 - 心のフィルター - 人は見たいものしか見ない #### レッテル貼り - 一般化のしすぎから、さらに加速したとき - 特定の属性にのみ注目して、それを何かの原因だと判断するような思考の歪み #### 結論の飛躍 - 先回りのしすぎ、心の読みすぎ #### 感情の理由づけ - 感情のみを根拠に自分の考えが正しいと判断するような認知の歪み - 嫌いな人→目的意識が低い、生産性が低いといったあたかも正当性があるかのような理由づけをして、表出する - 例、営業はみんな外回りに行って、いつもらサボっている。会社の指揮に影響があるから、監視をしたほうがよい - 営業全員? - 外回りで頻繁にサボっているのは事実? - 会社の指揮に影響があるのは事実? - 監視をしたほうがよいのは事実? - 💭こういうのよくある。悪手な解決策が生まれがちなやつ。 ### [[🗃️認知的不協和]] ### 問題解決よりも問題認知の方が難しい - 自分は論理的に考えることができていると思い込むことこそが非論理的な思考を生み出す元になる - 他人や自分自身の歪みを取り除くという工程が欠かせない - 💭事実を歪んで解釈して、大したことない問題を大きく捉えたりするけど、実際はシンプルな課題で、ちゃんと時間をかければ、解決できるということは忘れては行けないと思った。 - 💭とはいえ、感情で認知が歪んでしまいがちなので気をつけたい。 ## 1-5 [[🗃️経験主義]]と[[🗃️仮説思考]] ### わからないことは調べるしかない - 堂々巡りの議論で時間を浪費するくらいなら、同じコストで、可能性を1つで絵も潰す方が前に進む - [[🗃️不確実性]]を確実なものにするためには、行動して確かめる以外の方法はない - [[🗃️経験主義]]の対義語は、「理性主義」あるいは「合理主義」 - 近世までのヨーロッパの思考様式は、演繹的な思考によって導かれる事柄を事実として扱うというのが当たり前 - [[🗃️ウォーターフォール]]も、設計主義的プロセスだった - わからないことを行動で突き止める - 「わからなかった」あるいは、「正解に至らなかった」ということが重大なヒントになり、次の行動を生み出す - 全ての情報が揃っていないのだから、より問題をはっきりするためにはどのような「次の一手」を打てば良いのか考えれば、思い悩むことがなくなる - [[🗃️経験主義]]はわからないを行動に変換し、一歩でも正解にたどりつくための思考の補助線 ### [[🗃️不確実性]]と夏休みの宿題 - どのくらい時間がかかるかわからないような宿題を残すと、気がかりになる - 先に[[🗃️不確実性]]の高い宿題をやってみることで、どのくらいで終わるのかが見えてくる - つい「どうやるか、どのくらいで終わるか」がわかっているような仕事を優先的に好んで行いがち - -> 最後の方に[[🗃️不確実性]]の高い課題ばかり残ってしまい、完了時期がいつまで経ってもわからないという結果になる - 💭これは耳が痛い。だからこそ、不確実性の高いものから倒すことを意識するのが大事そう。 ### コントロールできるもの/できないもの - 「行動できることは何か?」と「行動の結果起きたことを観察できるか?」という2点が重視される - 💭大事 - 例) 上司が自分の仕事を評価してくれない - コントロールできないもの - 上司の自分に対する内心での評価 - 上司の評価基準 - コントロールできるもの - 上司の評価基準を詳しく聞くという行動 - 上司の評価基準に合わせた自身の行動の変化 - 人は知らず知らずのうちに、「コントロールできないもの」をコントロールしようとして、さらに思考が混乱しストレスに感じてしまう ### 観測できるもの/できないもの - 「観測できないものは制御できない」 - by ソフトウェア工学の祖、トムデマルコ ### あなたができること - 「コントロールできるもの」を操作し、「観測できること」を通じて、その結果を知識にすることだけ - 「コントロールできないもの」を操作し、「観測できないもの」を改善するという不可能な問題設定を行なってしまう ### 少ない情報で大胆に考える[[🗃️仮説思考]] - 仮説法は、わずかな痕跡から、確かめる行動につながる ### [[🗃️リアルオプション]]と遅延した意思決定 - [[🗃️リアルオプション]]戦略 - 遅延した意思決定を行うための戦略 - 早期に大きな意思決定を行い、大失敗をするよりも小さく失敗をして、成功しそうな時に大きく投資するという考え方 - プロジェクトが生み出す利益の変動幅がわかれば、それを元にどの程度の費用まで仮説検証に使うことができるのかを計算することができる - 💭利益が大きいのであれば、[[🗃️不確実性]]が高くても取り組む価値があるので、小さく始めて検証するというのは理にかなっていると思う。リスクを避けるよりもい、こういう思考を取り入れてチャレンジしていくことが大切そう。 ## 1-6. 全体論と[[🗃️システム思考]] ### システムとは全体の関係性を捉えること - 捉え方は2通り - 要素還元主義 -> 細かい要素の性質を知ることで全ての自然現象が説明できるという考え方 - 全体論(ポーリズム) -> 細かい要素に注目しても全体の性質はわからないという考え方 - ロジックツリーによる分析 -> 要素還元主義 - 分解して考えても、全体像を把握できずに思いもよらない結果を生み出してしまう - [[🗃️システム思考]]-> 細かい要素が互いに影響を与えるという考え方 ### 部分だけしか見ないことで対立が起こる - 3DのU - 横から見たら1本の線 - 上から見たら2本の線 - それぞれから見えているものの違いから対立が起こる - 例) 50万円の原資でキャンペーンをうつ - 選択肢 - A: 500万円の売り上げにつながる - B: 10%の継続利用ユーザーが増加 - C: 1%退会率が減少した - Aは、売り上げ、BCはユーザー数、ユーザー満足が大事という理屈で対立する - [[🗃️顧客資産]]という観点で施策を比較してみる必要がある - 毎月5%ずつ減っていく数の総和 -> 無限等比級数の和の公式で導ける - バランスシートと、P/Lの関係性 - 現在500万円の資本を持っていて、翌年1000万円の資本を持っていたら、この差額がその期間のビジネスの結果 - ある期間を区切って差に注目する -> 微分という操作になる - B/SとP/Lは微分積分の関係にある - ある期間にどれだけ利益が拡大しているのかという、利益加速度という概念が見つかる - ビジネスモデル -> 資産をビジネスモデルに変換し、増加した資産でさらにビジネスモデルに投資するというフィードバックサイクルのシステムと捉えられる - 事業のP/Lだけ見ていると、無形の投資活動(従業員教育/ブランド構築、顧客満足度、研究開発投資)は削減できれば良いというような単純な見方しかできなくなる - 💭人月神話も同じだと思う。x人増やせば、開発が速くなるはシステム的に他のことを考慮できていないために失敗してしまう自話だと思う。全体を見て、戦略を考えるのは大切。 - 拡張のフィードバックと抑制のフィードバック - [[🗃️システム思考]]において重要なのは、「フィードバックサイクル」という考え方 - 拡張のフィードバック - サッカー好きな少年は練習する -> 上達して勝利を得たり、褒められる -> そしてサッカーが好きになる - エアコンをたくさん使う -> 電気消費量が増えて地球温暖化が進む -> もっとエアコンを使わないとダメになる - 招待ボーナスで指数関数的に顧客が増える -> 他の人とやると面白くなる -> 人が増える - 抑制のフィードバック - 勉強嫌いな少年は無理やり勉強させられる -> あまり成績が伸びない -> そして勉強をやらなくなる - エアコンは室温を検知して冷房や暖房を弱めたり強めたりする -> 室温を一定に保つことができる - SNSで知り合いが増える -> 投稿が減る -> アクティブユーザーが増えなくなる - 全体の関係性が見えれば対立は解消する - 同じ目的を持った人々は本来対立するはずがない。対立が発生した時というのは、対立の当事者全員が少しずつ正しく、少しずつ間違っている ### 認知範囲と[[🗃️システム思考]] - 何かが正しいと判断したその背後には必ずその背後に隠れたシステムの外部性を切り捨てることが発生している - 視野・視座・視点 - いいプログラムを描けるようになりたい - いいプログラムというのはない。 - 拡張性がある、読みやすい、ドキュメントが充実しているといった表面的な要素がそのまま良さを作るわけではない - いいプログラマは、問題解決のための眼がある。眼が経験を有意義にも無為にもする - 視野 - あるポイントからその問題を眺めたときに同時に把握できる領域の広さ - 視座 - どこから眺めるか、高い/低いで評価されるもの - 低いと次元の高い問題を認識できない、高すぎると抽象的になる - 視点 - どの角度から見るのか - 問題の捉え方 - 自分は全体の一部しか把握していないことを受け入れて、考えることが大事 ## 1-7. 人間の不完全さを受け入れる - 自分の知性に対する絶え間ない疑いと、自分自身への洞察力が大切。 => 内省する力 - どのようなタイミングで間違った認知をし、間違った意思決定をしてしまうのか知ることが重要 - 💭自分はどのクセがあるのだろうか、あとで考えたい。 - 人間の3つの[[🗃️コミュニケーションの不確実性]] - 他者理解の[[🗃️不確実性]]: 人は他人や事象を完全には理解できない - 伝達の[[🗃️不確実性]]: コミュニケーションが到達するとは限らない - 成果の[[🗃️不確実性]]: 仮に理解されたとしても予想されたように行動するとは限らない - 「[[🗃️情報の非対称性]]」と「[[🗃️限定合理性]]」 => 共同作業での不合理な行動 - カレー作りの寓話 - 主催者と料理人の間で[[🗃️情報の非対称性]]があった - 主催者: 客の求めているものを知っている but 作り方は知らない - 料理人: 料理の作りかたは知っている but 客の求めているものを知らない - 役割が分かれたことで[[🗃️限定合理性]]が生まれた - コミュニケーションの不確実性 => 未来の不確実性になった - 組織に求められるコミュニケーション能力 - コミュニケーションの[[🗃️不確実性]]を減少させることできる - 連鎖的に発生する[[🗃️不確実性]]のループを止めることができる - 情報の[[🗃️透明性]]が大事 - [[🗃️情報の非対称性]]が削減され、[[🗃️限定合理性]]の働きを弱められている状態 - 意思決定と意思決定に関わる情報が、組織内に正しく生合成を持って伝達されるように継続して努力し、何かわからない決定があったとしてもそれは隠そうとしたわけではなく、抜けてしまったのか、自分が聞き逃したのだから、直接聞いてみようという関係性を作ること - 情報公開が情報の[[🗃️透明性]]を作るわけではない - 💭これは意識したい。パッとリンクを共有するだけで終わったりするので、ちゃんと背景も伝える努力が必要だし、わからなくなった時に聞けるような関係性を築くのが大事な感じがする